鹿児島県の岩場概説

 
 鹿児島県本土の岩場としては、鬼岳、金峰山、千貫岩、岸良、さざ波エリア、シークリフ、竜石、高隈山の岩場が上げられる。その他にも、幾つか記録があるが、現在ではほとんど登られていない。
 鬼岳は全山花崗岩よりなり、最大高度差は200 mを越える。鹿児島県本土では最もスケールを持った岩場である。しかし、大隅半島の南に位置しているために、鹿児島市内から遠すぎるきらいがあって、最近では、登る人が少なくなった。そのために、せっかく大土木工事を行って掘り出した岩場も次第に元の藪に戻りつつある。しかし、10 ピッチに及ぶルートはここだけであり、アルパインクライミングを目指すならば、貴重なゲレンデと言える。もっと活用されて良い岩場である。
 金峰山は鹿児島市内から近いために、最も良く登られている。土・日曜日にはほとんど誰かがいると思って間違いない。岩場自体のスケールは大きいものではなく、山頂付近に散在した十数個の岩塊を登ることになるので、ほとんどのルートが20 mに満たない。しかし、岩質が良いので、フリークライミングのゲレンデとして親しまれてきた。一方、4ピッチのルートもあって、あらゆる形の登攀が出来、ゲレンデとして優れている。また、最近はボルダリングの場所として全国的に名前が売れた。近頃は、フリークライミングを行う人よりも、ボルダリングを行う人の方が圧倒的に多くなった。まだ、手を付けられていない部分もあって、ルート開拓の余地が残されている。
 千貫岩は最大高度差80 m程の比較的すっきりした岩場である。しかし、地元からクライミングに対してクレームが付けられることがたびたびあるので、不愉快な思いをするかも知れない。行かない方がいいですよというサジェッションだけはしておこう。岩質が柔らかく、表面が少し滑るような感じがして、独特の登りにくさがある。一方、浮き石は少なく、登攀自体は快適な感じがする。この岩場の解説は削除した。 
 岸良の岩場は、鹿児島市から遠く、またスケールも小さい。ただし、ここは、花崗岩に入るクラックの練習場として異彩を放っている。しょっちゅう通う程の岩場ではないが、大小のクラックはインサイドクライミングのテクニックを磨くにはもってこいの場所である。また、明るく、登って爽快な感じのする岩場である。
 屋久島の岩場は、九州では最大のスケールを誇り、日本においても独特の位置を占めるだけの魅力を持っている。本富岳、七五岳、永田岳の岩場を屋久島の3大岩壁と称する。これらはいずれも300メートルを超える高度差を持つ。特に永田岳北尾根障子岳の南西壁、西壁は高度差500メートルを超え、日本でも最大級の岩壁である。1990年以降、屋久島の岩場にも鹿児島黒稜会の手によって多くのフリーのラインが引かれ、最近は中央からクライマーが訪れる事も出てきた。屋久島の岩場は、ゲレンデの範疇を超えているために、その登攀にはクライマーとしての総合的な力が要求される。

 なお、この岩場案内は、ホームページ作成担当者である米澤が中心となって記述したものである。

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