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始めに

                  
 なぜ背振山塊北面の沢を調査することになったかを述べておこう。私はある大学山岳部のアドバイザーをしているのだが、部員を沢登りに連れて行こうとしても、市房、祖母・傾まで出かけるのはしんどいし、泊まり込みになるので学生も行きたがらない。といって近場の背振には適当な沢が無い。ところが、50年以上も前のことになるが、「直登沢」というのを教えられ、溯行してみたところ、結構滝が多く面白い沢だったという記憶が残っていた。ここならば良い訓練場となるのではないかと思ったものの、沢の位置については全く覚えていなかった。そこで「直登沢」を探し雷山から背振にかけての沢筋を片っ端から登ってみたのだが、結局の所、「直登沢」らしき沢筋は発見できなかった。その代わり、背振山塊北面の沢筋はほとんど登り尽くしたと言えるほどになった。もちろん、背振山塊北面の沢筋全てを踏破した「沢屋」は多いだろう。しかし、簡単に手に入る範囲では、溯行図が添えられた網羅的な紹介はなされていないようだ。そこで、これから背振の沢登りを始めようという人のためにこの場を借りて背振山塊北面の沢筋の紹介をしたい。
 まとまった紹介としては、沢グルメさんのホームページ「川・花・こころ」(http://www1.bbiq.jp/sawa_gourmet/)が群を抜いているように思う。溯行報告には多くの写真が添えられており、沢登りのエキスパートにふさわしい観察眼と筆使いは読み物としても面白い。さらに、金山から背振山北面の渓谷の位置・名称がまとめてあるので、資料として大きな価値がある。また、「背振の四季彩」(http://kasuga-piroshi.at.webry.info)にも、多くの沢筋が美しい写真と共に紹介されている。沢筋だけでなく背振山塊を支尾根に至るまで踏破された打ち込み方には圧倒される。これら先人の記述に少しでも情報を付け加えることになれば幸いである。

            

                  背振山塊北面沢筋概念図

           (青線:調査した沢筋、 赤線:車道、 緑線:歩道)

 

背振山塊北面の沢筋概説


 ここに述べる背振山塊北面とは、雷山〜井原山〜金山〜背振山(せふりさん、またはせぶりやまと呼ぶ人もいるようだ)を結ぶ尾根筋の北面をさす。この範囲の左右は高度が落ちるために、沢登りの対象となる谷筋は存在しないと思われる。背振山塊北面は断層による花崗岩の急傾斜をなし、多くの沢筋が食い込んでいる。地図を見る限りでは興味ある沢筋が多く存在しそうだが、歩いた範囲では背振山塊の高度が低いことより、市房、祖母・傾の沢に匹敵するような物は皆無であった。それでも、福岡市西部の市街地から30〜40分程度で入渓出来るので、手軽に沢登りが楽しめる。更に、花崗岩の沢床を流れるせせらぎが美しく、気持ちの良い溯行が続く。
 背振山塊北面の沢は大きく4つの水系に分けるのが便利だろう。すなわち雷山に突き上げる雷山川水系、上流で洗谷とダルメキ谷に分かれ、井原山に突き上げる瑞梅寺川水系、金山に突き上げる室見川本流水系、背振山に突き上げる椎原川水系の4水系である。椎原川は室見川に合流するので、二つを合わせ室見川水系とする考えもあろうが、流域面積が大きくなりすぎる。室見川本流である八丁川は井原山に突き上げるので、ここでは井原山の水系に含める。
 ほとんどの沢は格別の登攀具は必要としない。しかし、全ての滝を直登しようとすると、中にはザイル、ハーケン、カラビナ等が欲しくなる部分が出てくるから、本文中で特にことわらなくてもBランク以上の沢では一応簡単な登攀具を持参した方が良いだろう。溯行図は正確を期したつもりだが、当然記載ミスがあり、さらには、水流の落下を滝と見なすかナメと見なすか、連続する滝を1本の滝とするか個々の滝とするか等、微妙な問題が出てくる。従って溯行図はおおよその目安に過ぎないと考えなければならない。
 沢を三つのグレード(Aランク:お薦めの沢、Bランク:行く価値はある沢、Cランク:行っても仕方の無い沢)に分けた。私は岩登り専門なので、当然、登り甲斐のある滝を多く持つ沢の評価が高くなる。沢の美しさについては別の評価があるだろうから、ここでの評価は一般的な物ではないということをことわっておきたい。私のベスト4は、洗谷中俣、滝川本流、長尾(広滝)川、坊主川である。

 

沢筋の名称について


 原則として、川の名称は行政が決めた公式の名称に従うべきであろう。福岡市を流れる河川については、「普通河川の指定」(http://www.city.fukuoka.lg.jp/d1w_reiki/reiki_honbun/q003RG00000739.html)にリストが掲載してある。これが最も権威のある資料であろうが、全ての川を網羅しているわけではなく、また川の位置を同定しづらいといった点がある。あと一つの資料として「福岡市の河川」(http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/29063/1/fukuoka_river.pdf)には河川の位置が図示されている。この資料が一番使いやすいが、微妙に国土地理院の地図とずれている場合があり、またこの図の出所が不明な為に、どこまで公式の物かはあいまいな点が残る。原則として、この二つの資料に従うことにする。しかし、登山者の間で一般的に使用されている名称もあり、その場合は併記した。さらに、支流になると名称のはっきりしない部分も出てくる。その場合には「川・花・こころ」「背振の四季彩」を参考にした。それでも尚、名称不明の場合は、右俣、左俣というように、支流の位置関係を用いた。

 

      

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